2016年11月12日土曜日

短文の漢詩・語句

<五言・10字>
幽禽聲自楽 流水意長閑      =出典:韓除轣  【読み】<幽禽聲自ら楽しみ 流水意長閑なり>
◎名知らぬ鳥が楽しげにさえずり、流れる水はあくまでものどかである。


世事雲千變 浮生夢一場   =出典:王庭筠  【読み】<世事雲千變 浮生(ショウ)夢一場(ジョウ)> 
◎世の万事はすべて変化多くして雲に似ている、はかなき人生は一場の夢を見たに過ぎない。


山花迎客笑 谷鳥避人啼   =出典:盧之翰  【読み】<山花客を迎へて笑ひ 谷鳥人を避けて啼く>
◎山中の花は笑顔で客を迎えるように美しく咲き、谷間の鳥は姿を隠して囀る。


啼鳥雲山静 落花渓水香   =出典:徐貴  
◎雲のたなびく山に鳥がないて静かに、谷川の水には落花が浮かんで流れて香しい。


青山元不動  白雲自去来   =出典:虚堂録 【読み】<青山元より不動にして、白雲自ずから去来す>
◎青くそびえる山はもとから不動であり、白雲はその周囲を無心に去来している。


鶴舞千年樹 亀游萬歳池   =賀詞 「鶴舞千年樹 亀潜万歳淵」もある 
【読み】<鶴は舞う千年の樹 龜は游ぶ萬歳の池(亀は潜む万歳の淵)>


昨夜一声雁 清風萬里秋   =出典:虚堂録  【読み】<昨夜一声の雁 清風萬里の秋>
◎昨夜来の雁がねの声を聞かなかったらどうして遠い河口に秋が来たことを知ったであろうか。


心清無別(外)事 静極是眞源   =出典:斯植 【読み】<心清く外事(ガイジ)無く、静極まって是れ眞源>
◎ 心は清く外に思わないから何事も起こらない、静かさはこの上もないから此処で極意の処である。


水深魚極楽 林茂鳥知帰   =出典:杜甫「秋野」 【読み】<水深く魚楽しみを極め、林茂り鳥帰るを知る>
◎ 水は深くして魚はこの上もなく楽しみ、林は茂りて鳥は塒(ネグラ)に帰ることを忘れない。


真味只是淡 至人只是常   =出典:菜根譚 【読み】<真味はただこれ淡 至人はただこれ常>


十方無虚空 大地無寸土 =出典:法句抄(道元眼蔵)   江上之清風 山間之明月 =出典:赤壁賦




村静鳥聲樂 山低雁影遥     枕上乾坤静 夢中歳月長     春逐鳥聲開   麗日散光華

新鶯憶葉囀 新燕向窓飛      泉聲帯月静 松影入窓間      百年書法裏 萬事酒盃中


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<9文字>

心和気平者 百福自集      =出典:菜根譚  【読み】<心和(ヤワラ)ぎ、気平(タイ)らかなる者は、百福自ずから集まる>
◎柔和で安定した心の持ち主は、多くの幸福が自然に集まってくる。前句「性燥(カワ)き心粗なる者は一事も成すこと無し」(無味乾燥で粗野な心の持ち主は、一つとして物事を成し遂げることはない。)


更潜礎石下 浮上小身

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<8文字>

千萬里 日夜一孤舟   =出典:中国孔子 『滄溟千萬里 日夜一孤舟』が元

知足常楽 能忍自安   =出典:釈尊の遺教経 【読み】<足りたるを知れば常に楽しく、よく忍べば自ら安らぐ>
◎不満不足は欲から生じるもの、現状に満足すれば楽しく暮らせる。不足を辛抱忍耐することにより平穏な生き方ができる。

垂絲千尺 不釣凡鱗   =出典:虚堂和尚語録  ◎千尺もある深い釣り糸は、雑魚は釣らない

四季平安 百幸如意   =出典: “四季平安”は中国のお祝い言葉。賀詞には、恭賀新嬉、恭喜恭喜、五福臨門、吉祥如意、百幸如意などたくさんあり。

心外無法 満目青山   =出典:禅語  ◎こころの外に法は無し。見よ眼前に広がる雄大な山々を

積善之家 必有餘慶  =出典:易経         能言能行 国之宝也


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<7文字>

白雲千載空悠々      =出典:崔 障香/黄鶴樓   【読み】<白雲千載空(ムナ)しく悠悠> ◎白い雲が千年の後の今も変わらずに悠々と流れてゆく。

萬里無雲孤月圓   =出典:虚堂録  【読み】<萬里雲なく孤月圓(マドカ)なり> ◎見渡す限り雲ひとつなく、円い月が照っている。

人間萬事塞翁馬   =出典:淮南子 【読み】<人間萬事塞翁の馬> ◎人間の幸不幸は図り知ることができないから、禍も悲しむにあたらず幸いも手放しで喜べない。(国境の塞近くに住む老人の飼い馬をめぐる禍福の因縁話)

栄枯事過都成夢   = 【読み】<栄枯の事、過ぐれば都(ス)べて夢と成る> 

人間是非一夢中   =出典:良寛  ◎七言詩「回首五十有餘年 人間是非一夢中~」より。いいとか悪いとかの判断ものさしは正しいのかな?

心頭無事一床寛   =出典:禅語 【読み】<心頭無事にして一床寛し> ◎心頭滅却すれば一つの床も広々と感じられるものである

無一物中無尽蔵   =出典:禅語…中国禅宗第六祖・慧能禅師の言葉「本来無一物」より  ◎何もない中に限りない沢山なものが詰まっている。それを見つけ出せる人は無限の宝を得ることができるし、努力も工夫もしない人は何も見つけられない。

遠山無限碧層々   =出典:碧巌録  【読み】<遠山限り無く 碧層々> ◎遠く連なる山々が碧を幾重にも重ねてそびえている様子。

野水無心自去留   =出典:虚堂録 「青松不礙人來往」が前につく 【読み】<青松は人の來往を礙(サマタゲ)ず 野水無心に自ら去留す>

九天雲静鶴飛高   =出典:道元禅師『永平広録』 【読み】<九天雲浄らかにして鶴の飛ぶこと高し> ◎前句「四海浪平龍睡穏」=四海の浪は平らかであるから龍の眠りも穏やかである。九天の雲も清らかで鶴が高く飛んでいる。

漁人入得桜花洞   =出典:陶潜明/桃花源記 【読み】<漁人入りて桜花の洞をうる>(民間信仰=桃花郷伝説とも共通する)

満船明月載得帰 =出典:五灯会元         天地無私春又帰 =出典:禅語 

獨座山中天地静        白雲悠々去又来        平生富貴逐春来

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 <6文字>

徳如海 寿似山   =出典:伸聞詩  【読み】<徳は海の如く 寿は山に似たり> ◎徳は広い海の如く、寿は山に似て高い。

一花開天下春   =出典:虚堂録  【読み】<一花開いて天下春なり> ◎梅が咲き初めて、どこもかしこも春とはなった。

月在天水在瓶   =出典:禅語   【読み】<月は天にあり 水は瓶にあり >(月~雲もある) 

雲林野思幽夢   =出典:倪瓉・元 【読み】<うんりんやしゅうむ> ◎雲にかかる林、野に住む思い、夢までが静かで安らかである

痴兀兀兀兀痴   = ◎坐禅が兀兀地と形容されるごろりとした山のような不動な身心の姿勢

南山雲北山雨 =出典:碧巖録      徳不孤必有隣 =出典:論語      夜静寒巌虎嘯

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< 5文字>

茶煙永日香」=出典:方囘  ◎茶を煮る煙がたち、ひねもす香しい。     「観白雲幽石」=出典:菜根譚 <白雲幽石を観てー玄に通ずー>

悠然見南山」=出典:陶淵明/飲酒 【読み】<悠然として南山を見る>    「浮生夢一場」=出典:王庭筠  ◎はかなき人生は一場の夢を見たに過ぎない。

鳥鳴山更幽」=出典:王籍 【読み】<鳥鳴いて山更に幽(カスカ)なり> 王安石の「一鳥不啼山更幽」はこの句には及ばない。

潜心観道妙」=出典:倪瓉 【読み】<心を潜めて道妙を観る>◎心を潜め考えれば、道の玄妙深遠がわかる

好事不如無」=出典:禅林句集 【読み】<好事も無きにはしかず>◎好い事を追い求めると得られない、とらわれのないところに得られる。

林下十年夢」=出典:禅林句集 ◎山で修行して山から出てきた男が湖で大笑いをしたという事。煩悩に悶悶とし気が付いたら実態は何もなかったということ。「湖邊一笑新」と続く。

日々是好日」=出典:碧巌録 【読み】<日々(ニチニチ)是れ好日(コウニチ)> ◎いつでも心地よい日である。でも良いことばかりではないから、執着、煩悩をたちきって清純無垢となりましょう。

白雲自去来」=出典:虚堂録 <青山元不動白雲自去来>より ◎白雲はただ流れるのみ。無心の境地になりたいものです。

日出乾坤輝」=出典:禅語(日出乾坤輝 雲収山岳青) <日出でて乾坤輝き 雲収(オサ)まり山岳青し> ◎太陽が登ると万物がその光を受けて世界が明るく輝き、雲が消え去ると山々は青々としてくる。

大賢如大愚」 【読み】<大賢は大愚の如し>  ◎非常に賢い人は知識をひけらかさないので、一見したところ愚人のように見える。

心清意自閑」 【読み】<心清ければ 意自から閑(シズ)か> ◎心が真っ直ぐで邪念がなければ、気持ちも自然と騒がしく乱れることはありません

渾兮其若濁」=出典:老子 【読み】<渾として其れ濁のごとし> ◎濁った水のように不透明である。濁った水を清く澄ますことができるのは“道”を体得した人物だけである。

萬里一條鐵」=出典:傳燈録 【読み】<萬里一條の鐵> ◎万里のように遠く離れた距離(気持ち)も、一片の楔(鉄=レール)でつながる。以心伝心にも通じる。空っぽ、無になることの大切さを説く。

水急不流月」=出典:碧巌録 【読み】<水、急なるに月を流さず> ◎急流に映る月影は揺れてはいても流れることはない。真理は月のように変わらない。忙しい毎日を送っていても心を失わないように。

室閑茶味清」=出典:禅語 【読み】<室閑かに茶味清し> ◎静かな部屋に茶の香りが清らかにただよう。

山高月上遅」        「酒逢知己飲」      「宝在此山中」        「無々無是非

坐久収烟雲」        「樂亦在其中」      「此世随縁過」        「在幽石枯木

道勝則境静」        「松樹千年翠」      「巣龍栄華極」        「酔裏楽天真

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  < 4文字 >

「和敬清寂」=出典:茶祖・珠光の「謹敬静寂」を千利休が一字改めた語句 ◎和=お互い仲良く、敬=敬いあい、清=心も清らかに、寂=何事にも動じない心。

「清寂養和」  ◎静寂の中でこそお互いの心が通じ合う

「以和為貴」=出典:礼記 <聖徳太子の憲法17条の最初の文言> ◎調和する事を貴い目標とし。道理に逆らわない事を主義としなさい

「真空妙有」=出典:禅語 <吾心は秋月に似たり 碧潭に清く皎潔~と続く。> ◎私達の心は秋の明月のように円満無欠であり、緑色の深淵に照り映えて清く輝いている。人みな仏になる性質をもっていることを、月にたとえている禅語です。

「長楽無極」=出典:漢瓦當 <長楽極まり無し> ◎楽しみが長くつづいてきわまりない。

「道法自然」=出典:老子  ◎人間の道は自然にのっとる、人為を加えてはならぬ。

「平安是福」=出典:明唐伯虎不如歌  <平安是れ福> ◎無事なのが是ぞ真の幸福である。

「大道無門」=出典:禅語 至道も同じ。◎大道は無象無形で人を拒否する関門もないが参入しがたい。 続く句は「千差路有り 此の関を透得すれば 乾坤に独歩せん」(その門はどの道にも通じている。その門を通ることができれば、天地の間を自在に歩けよう)

「天馬行空」 ◎何物にも遮られないで、素晴らしい勢いで進んで行く様子。考え方や着想が自由奔放である。

「行不由径」=出典:論語  <行くに径(コミチ)に由(ヨ)らず> ◎楽をして横道や近道を辿ろうとするものだが、結局そのような道は、成功へと導くことはない。大道を、そして正道を歩みなさい、その道は自らの意志で拓かれる。

「閑中至楽」=出典:蔡軾  <かんちゅうのしらく> ◎閑暇こそ、最上のたのしみ。人生の理想

「寛仁厚徳」=出典:漢玉銘 <かんじんこうとく> ◎心寛大にしてあわれみ深く、徳は積み重ねて厚い。

「上善若水」=出典:老子 <じょうぜんみずのごとし> ◎理想的な生き方は水の如きもの。

「独座中堂」=出典:菜根譚 ◎何物にも動かされぬ本心が、どっかと中心に坐っている。

「独座観心」=出典:菜根譚   「鳶飛魚躍」=出典:菜根譚   「日裏看山」=出典:『雲門廣録』、『禅林句集』 

「鳳来麟現」     「風花雪月」     「和気満堂」     「心到天真」     「山静興長」

「南風和暢」    「無為真人」    「心地寛舒」    「落葉帰根」

「澂(澄)心静慮」     「和光同塵」      「花鳥風月」 


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 <3文字>

「 無量寿」   「 乾坤輝 」   「 耐風雪 」    「 動中静 」   「 閑是宝 」

「 観吾心」         「 脱手套」     「聴無聲 」     「静而舒 」      「 不老門 」

「 寿無涯」     「思無邪 」       「 莫妄想 」     「 恭則寿 」    「 不動智 」

「 虚(處)間静 」


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    <2文字>

「 寂静 」  「獨坐 」  「 花開 」  「慶雲 」  「 澄観 」  「 飛雲 」

「 幽邃 」<ゆうすい> ◎奥深い       

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  <1文字>

「 無 」  「心 」  「 虚 」  「和 」  「 壷 」  「 命 」  「 黙 」  「 寂 」   「 夢 」